昼過ぎに、彼が慌てだした。
「なんか、もってくるらしい」
お母さんからメールをもらったようだった。
いつものように
『へー何かしらね』」なんてのんきにしていた。
すると彼は部屋を片付けはじめたのでこちらは『?』

『なんで部屋を片付けているの?』
「なんか、NaNaちゃんとふたりにらしい」
『えっ?私も?で、なんで片付けているの?』

「来たら、上がったらって言うよ」と。
『へ?上がるんですか?そんな急に?』
「来たら、上がったらって言うよ」

『いや、急にこられても困るでしょ。』
「来たら、上がったらって言うよ」

・・・

ほどなくして、やってきたお母さんは
彼の「上がったら?」に
NaNaさんが嫌がるから私は上がらないと、言い張り
玄関先でまくし立てるようにしゃべりはじめた。

これは、あなたのお母さんからお歳暮をいただいて
私はあわてて昨日二子玉の高島屋に行ってビールを送ったんだけど
全部もってきたらあなたのお母さんの気持ちを踏みにじるようになるから
半分持ってきたの。
家の住所はNaNaさんが教えたんでしょ?あなたが教えなきゃ知らないわよね。
あなたも、もうそれなりに大きな子供がいる年なんだから、親の言うことなんて聞いてないで
ちゃんと自分で考えなさい。

箱を押し付けて帰っていった。

へ?
なんと?
今、なんと?

笑っちゃいました。
そのあと、おかしくておかしくて、何やっててもおかしくて
知らないうちに声まで出して笑っていたら

彼に
なんで笑ってるの?と聞かれて

そんな年にもなって、母親の言うことばっかり気にして、
母親の言うことばっかり聞いているのは、あんたの息子だわ。
そのことば、そっくり熨斗までつけてお返ししたいわ。

と笑っていったら、
何も言わずに、黙っちゃいました。
けど、しばらくしたら
思い出して可笑しくなって、
また笑ってしまったら、

彼もまた
なんで笑ってるの?と聞いてきて
先ほど黙った様子が、なんだか心地よい雰囲気ではなかったので
同じ事は言いたくなくて

だから・・・と言ったら察してその後言わずにすんだ。

「どっちが!」という思いじゃなくて
「良いこと言われちゃった」と思った私は、やっぱり意地悪なのかもしれない。

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